シエラ・レオーネの内戦と影響について

『アフリカNOW 』No.12(1995年発行)掲載

執筆:ウェニー・タイ(フォスタープラン シエラ・レオーネ総括事務局長)

シエラ・レオーネの内戦は、すでに4年半も続いています。これまで交戦は実質的には国の南東部と東部に限られていましたが、昨年の10月以来国中に拡大しています。そのため、フォスター・プランの活動地域であるモヤンバ市や首都フリータウンのルーラル・ウェスタン地域での活動にも重大な影響を与えています。
1995年1月と3月の反政府軍による攻撃で、こうした地域に住むフォスター・ファミリーの多くが親族とともに難民キャンプや別の地域への避難を始めました。避難の途中で家族とはぐれてしまった子どもたちもたくさいます。人々の流入で主要都市部は人口が急増し、首都のフリータウンの人口は、この一年未満で3倍に膨れあがって現在150万にも上っています。フォスター・プランの調査では、この中にモヤンバから避難してきた2700人のフォスター・チャイルドとその家族・親族、フリータウンのルーラル・ウェスタン地域からの3000人も含まれています。

ここ半年、フォスター・プランはかなり困難な状況の下で子どもたちの救済活動を行ってきました。
マケニ市、首都フリータウンのアーバン・ウェスタン地域とルーラル・ウェスタン地域のおよそ半分の地域では交戦による直接被害はなく、通常のコミュニティをベースにした子どもたちの保健衛生や教育に重点を置いたプロジェクトを継続して行っています。また、職業訓練、母親のための小規模商業開発なども続けています。

一方、交戦のためにプロジェクトが一時中断している地域では、次のような活動を行っています。
1)避難した子どもたち(フォスター・チャイルドを含む)へのできる限りの支援
2)援助地域から避難したフォスター・チャイルドとその家族の所在確認
3)現地職員の安全とフォスター・プランの資産確保

人々の避難後1ヵ月以内の2月に、フォスター・チャイルドを含む2700人のモヤンバ市から逃れてきた子どもたち、またその親族13500人に対して、食料(米、油、豆、魚)や、その他の生活必需品(鍋、マット、学用品、毛布、中古衣料)、状況に対処するための幾らかの現金を支給しました。また、4月にはルーラル・ウェスタン地域からフリータウンの中心部に避難してきたフォスター・チャイルド880人と4500人の親族にも同様の緊急援助が行われました。最近になって、フォスター・プランが活動をしてきたモヤンバ市内のボトタイアマの町を訪問したところ、さらに884人のフォスター・チャイルドとその親族の所在を確認しい、米、豆、油、毛布などの緊急援助物資が送られました。また、特別医療も必要に応じて行いました。
6月15日の時点では、ルーラル・ウェスタン地域とモヤンバ市の活動地域のフォスター・チャイルドのうち、それぞれ69%、61%に連絡を取ることができました。

フォスター・プランが行っている緊急援助は、もちろんフォスター・チャイルドやその家族だけに限ったものではありません。  例えば、次のような活動も政府や自治体とともに行っています。
a)フリータウン市当局と:避難民の市流入に伴い増加するストリート・チルドレンの施設設置
b)厚生労働省と:フリータウンの人口密集地域およびいくつかの避難民キャンプにおける衛生状況の改善とコレラ対策
c)文部省と:フリータウンに避難してきた子どもたち3500人対象の学校設立
現在フォスター・プランは、保護者のいない何千という子どもたちが家族と再会できるように、両親の消息を調査するプログラムを社会事業省と協力して行っています。
まだまだすべきことは数多くありますが、シエラ・レオーネの子どもたちの生活状況を向上させるというフォスター・プランの目標を実現させるための努力は現地の方々から感謝されています。今後も、親族とははぐれた子どもたちの家族との再会、またフォスター・チャイルドの所在確認、避難民となった子どもたちへの支援など、できる限りの援助活動を続けていくつもりです。 こうした活動を可能にしている、各国のフォスターペアレントに心から感謝いたします。


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